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その白い塊の上部の綻びから露出している名状し難き黒い何物かは、ただひたすら鈍く不気味な黒光りを放ちながら、奇妙な重々しさを感じさせた。 私はただ唖然として、白い塊の方を見ていたが、なんとか気を取り直して、恐る恐るその白い異物に近づいた。 そして意を決して、真白き塊に触れようと手を伸ばした、その時、 不意に件の黒い何物かが突然、凄さまじい速さで回転し始めたのに驚いた。 虚を突かれて、私は一瞬たじろいだが、なんとか気を取り直して、もう一度、白い塊に触れようと手を伸ばした。 だが真白き異物の表層に触れた、 その刹那、 「うぎゃっ…!」 一瞬、何か途轍もない衝撃が身体の中を走り抜けた。 私は意識が飛んで倒れそうになった。 塊に触れた指が、刺されたような衝撃で痛かった。 と同時に、焼けるように熱かった。
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