100人が本棚に入れています
本棚に追加
94
白い塊は激しい律動を繰り返し、その表層にはさらなる焦げ目が出来続けた。
不気味な熱と煙を噴き上げて、まるで爆発寸前の白い異物のようにその場で激しく震え続けていた。
だがその時、
表面の白い部分が一部焦げ落ち、塊の内部が一瞬露出した。
そこには、明らかに人間の皮膚とおぼしきものが微かに見えた。
ひょっとして…?!
白い塊はさらに激しく律動し続けることで移動し、ついには崖の向こう側に飛翔せんとしているかの如くであった。
私はその時、直観的に、一気に白い塊に向かって飛び出した。
「あ、危ない!爆発するぞ!」
背後からつねさんがそう叫ぶ声が聞こえたが、私は自分の身体の動きを止めることが出来なかった。
私はタックルするようにその白い塊に飛びついた。
「うわっ!!」
やはり電流が塊全体に流れているのか、それが私の身体にも伝わってきて、こちらも痺れた。
意識が飛びそうになりながら、私はそれでも必死で白い塊を離さずにいた。
真白き異物の律動は激しいままで、私が捕まえて横転させてからも激しく動いた。
もう、こちらの意識がほとんど飛びそうだ。
それに身体が焼けるように熱い。
私は渾身の力を振り絞って、白い塊を全力で抱え続けたが、もはや意識は朦朧とし、気を失いそうだった…。
最初のコメントを投稿しよう!