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その時、不意に何かの強い力が加わって、白い塊が私の手から離れそうになった。
と同時に、白い塊の表層の焼け焦げた焦げ目がどんどん裂け始め、次第にその裂け目は過剰に増えていった。
一瞬、正面をよく見ると、そこでつねさんが白い塊を押さえ込んでいる姿が見えた。
どうやらつねさんが私に加勢して、必死で白い塊の激しい律動を止めているようだった。
そのうちに白い塊の表層は黒く焼け焦げた裂け目がさらに尋常ではないほどに増え始め、そしてその裂け目から、内部の人間の皮膚がはっきりと露出し始めた。
たぶん…
私は、白い塊に流れている電流に身体がバラバラになりそうなほど痺れてしまったので、塊を押さえるのをつねさんに任せて、手を離した。
意識は完全に朦朧としていたが、なんとか気を引き締めて、私は真白き異物の方を凝視した。
すると目前の白い塊は、随所に出来た夥しい数の焦げ目がさらに激しく裂け始め、まるで脱皮するかの如くに、内部から人間の裸の身体を露呈させた。
やはりそれは想像通り、沢村とあの女の蒼白き裸体であった。
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