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お題:廃棄物、こだわり
昨日、長年お世話になっていたぬいぐるみを捨てた。あまり記憶は確かではないが、両親に買ってもらったのは小学生の頃だったように思う。
正直なところ、あまりあのぬいぐるみが好きではなかった。
好みの生き物でも無かったし、妙にでかいし、色もいまいち好きになれない。
手触りはふかふかしたものが苦手だし縫い目が全く見えないのはぬいぐるみって感じがしなくて嫌いだし、デフォルメされた目は怖い。
じゃあ、なんでそんな物にずっと頼りになってきたかというと、それが両親に買ってもらったものだからだ。
そのぬいぐるみは、ほつれる度に直してもらったし、目も付け替えてもらったし、中綿も交換してもらったし、なんなら洗ってもらったこともある。
詰まるところ、あのぬいぐるみを通して親を感じていたのだ。
それを、好きでも無いのに持っていることが子供であることの符号のような気がした。
私は明日から社会人になる。
だから今日、学生を卒業する。
きっと明日には、新しいぬいぐるみを買うだろう。
大人だから、めいいっぱいこだわって、好きな生き物のやつを買うのだ。
縫い目が露骨に見えてて、目は妙にリアルで、サラサラした手触りで、そんなに大きくない、好きな生き物のぬいぐるみを。
…カエルとかいいかな、気持ち悪がられないかな。
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