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忘れたくても忘れられない思い出。
当時、八歳になる長男雅人と、三歳になったばかりの裕人。
ずっと欲しがっていたラジコンカーを、クリスマスプレゼントとして雅人に与えた。
裕人にも違うプレゼントを与えたのだが、兄のラジコンカーを欲しがった。
毎日毎日ケンカして取り合い。
そして、あの日が来る。
「お兄ちゃんなんだから」
貸してあげなさいと美代子が言うと、
「なんで僕からばっかり…… 」
雅人は涙を流しながら弟からラジコンカーを取り上げ外に飛び出した。
そしてすぐに、
ドンッ!
今でも忘れられないあの音が美代子の元へ。
嫌な予感がしてすぐに追いかけた。
玄関を出てすぐの道路。
美代子は両手で口を覆った。
現実がすぐには受け入れられず、声も出せなかった。
停止している大型トラックの横に壊れたラジコンカー。
タイヤの下には、血を大量に流した雅人がいた。
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