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今日は結婚式をするはずだったが、葬式になってしまった。
葬式が一通り終わり、君との最後の対面を果たそうとしていた。
君は、穏やかな笑みを浮かべながら百合やトルコききょうに囲まれていた。
真っ黒なウエディングドレスも相まって絵画のようだった。
『どうして、今日、なんだ』
泪が溢れてくる。
望んだ幸せが手から零れ落ちる現実に、愛した人との今生の別れに。
今ごろ、まっしろなタキシードを着るはずだった。
君も、まっしろなドレスを着たかっただろう。
神様よ、なぜ、愛しい人が病魔に侵されなくてはならなかったのですか。
なぜ、結婚式が決まってドレスも選んで未来を楽しみにしていた俺達が不幸せになるのですか。
最悪の未来を想定して作られた黒いウエディングドレスを着ることになった君。
『君は、どんな君でも綺麗だね』
君の頬を撫でながら、君の唇にキスをした。
君との最後のキスは百合の花の香りが薫っていた気がした。
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