そして、運命の彼女

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そして、運命の彼女

「なぁなぁ、もしも無人島に1個(いっこ)だけ持って行けるとしたら、なんにするん?」  せーの 「マヨネーズ!!」 「中濃ソース!!」  ウチと彼は、顔を見合わせ、一緒にアハハと笑う  お好み焼き屋の息子と  たこ焼き屋の娘  粉モン天国に生まれた2人は  スーパーの調味料売場で、自然に出会って  夏まつりの屋台の前で、偶然の再会  鉄板で鰹節が踊るように、必然的に恋に落ちた    「もう少しだけ、甘めにせな、アカンやろ」 「もう少しだけ、酸味を抑えた方がええんやないの」  厨房で、額を付き合わせる日々  彼の自家製マヨネーズ  ウチの秘伝の中濃ソース  2つの味のマリアージュ  ちょうど良いバランスが見つかったなら  2人の指にも光る予定のマリッジリング  お店に来たお客さんを笑顔にしたくて  あと、もう少しだけ…… 【了】
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