森のマーシャはオオカミさんとルビコン川を渡る

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「マリーナさん、どうしたの? 何か勉強に集中できない理由でもあるのかな?」 教員室の一角。 事務机から回転いすを九十度回転させ、大野貴志先生が私を覗き込んだ。思いやり深そうな「タカシ」の眼差しにうっとりする。 胸の異様な高鳴り。 どこかに隠れてしまいたい羞恥心に襲われ視線を落とすと、私の膝と彼の膝の間がたったの3センチ。 そう、今思い返してみれば、あの3センチこそが私と彼のルビコン川だったのだ。
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