サント・マルスと混沌の邪神ーエイジャン編その1ー

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 「ここが・・・。」「・・・砂だらけ・・・ですね。」「うん。」 「ここがユーラント大陸の東の端だ。そしてそこに見えるのがウドヒ 砂漠だ。」 「サ、バク?。・・・こんな辺ぴな所にも神様はいるんだ。」 「そうだ、だが、私の転送魔法が使える範囲はここまで。ここからは 異大陸エイジャン。ユーラント世界とは全く別の大陸だ。」 「でも・・・陸で繋がっているんだろう。」 「そうではあるが、この砂漠の更に東にある天巖山脈より向こうは大陸神 エイジャンがいる世界。天巖山脈のその高さゆえお互いの大陸間を行き来 できない。」 「て・・・てん、がん山脈?。」 「そうだ、エーアデの屋根と呼ばれしこの天巖山脈の最高峰デヴギリ山は 惑星エーアデ上最も高い山だ。ここから恐らくユーラント大陸もエイジャン 大陸も見渡せるだろう。・・・掌を広げてくれ。」「こうか?。」 ユーリウスが掌を上に向けると、以前ユーラントが見せてくれたエーアデ儀の 模造品が現れた。 「そこに赤く光る部分が現在地だ。そして、今これから向かおうとする 地がそこだ。」 ユーラントが手を翳すと、別の場所が光り始めた。 「GPSが付いてるのか?。まるでナビだな。・・・。ここか・・・。」 ユーリウスは少し考えた。 「そう言えば・・・これは模造品って言っていたが、本物は無いのか?。」 「本物のエーアデ儀は別名『エーアデの宝玉』と呼ばれし物。強大な エネルギーを持っているといわれている。そして本物はこの七つの大陸で 唯一惑星エーアデと繋がりを持っていたといわれるティマイオスが持って いる。」 「・・・けど、ティマイオスはもう既に・・・。」 「今はどこにあるか。記憶を辿ってみよう。よいか。」 ユーリウスはユーラントに近づき、目を閉じた。ユーラントはユーリウスの 頭に手を翳した。 「なんと・・・『エーアデの宝玉』この世には無い、という事か。」 「ええっ・・・どういう事?。」 「今それを持っている者はいない。実はティマイオスは二十数年前例の 『未来人』が現れた時にその者たちに渡していたようだ。」 「何故!!。・・・」 「恐らく、巨大惑星の接近から、このエーアデを回避する為だろう。」 「待てよ・・・本物には物凄いエネルギーがあるんだろう。そいつが なくて大丈夫なのかよ。闇と戦えるのか?。」 「私もそれは不安に感じていた。だが、ティマイオスにしてみれば、 アトラテックの滅亡よりも惑星エーアデが宇宙の藻屑となる方が重大だと 思ったのだろうな。実際に歴史は大きな犠牲を払いながらも動いていたと いう。」 「歴史に沿って俺がそれをやり遂げなければならないって事だな。」  「おっ・・・来たか・・・。」 光の筋が現れた。「この者達か。大陸神ユーラント。」 「ああ、紹介しよう。デヴギリの守護神サガルマータ。サガルマータよ。 この者が我がユーラント大陸の勇者ロナウハイド、そしてその妻の オルケルタ。」 「確かに・・・ユーラントの者とは少し顔立ちが違うな。アトラテック との混血とは聞いていたが・・・実はアトラテックの者を見るのは初めてな ものでな。それよりも大丈夫なのか?。デヴギリ山の頂上は万年雪を抱き 空気も薄い。普通の人間が登れる山ではないぞ。」 「解かっている。二人共、こちらへ。」 ユーリウスとオルケルタはユーラントの側に近づいた。ユーラントが手を 翳すと二人は赤く光るオーラに包まれた。 「では、宜しく頼むぞ。」「はっ!!。」 サガルマータは周囲に金色の輪を描き、印を結んだ。一瞬にして辺りが 見えなくなったかと思うと、辺りの風景はすっかり変わっていた。 「凄いところだな。ここは一体?。」 「ここはデヴギリ山の頂上を目指す為の入り口だ。」 「あの砂漠ってのは何処に?。」「たった今越えてきたところだ。」 「転送魔法ってやつか・・・。ところで神様って皆そんな魔法を 使えるのか?。」 「私が知る限りでは、使えぬ者の事は聞いた事は無い。だが、逆に アトラテックの大陸神ティマイオスはかなり強い魔力を使いこなせた ようだ。そなたの中にいるティマイオスの記憶だけでも、物凄い力を 感じる。」 「そ、そうなのか・・・あ、けど、これでも力量はかなり少なく なったって言ってたぞ。」 「そうなのか。ならば以前の力とはどれだけのものだったのか、想像も つかんな。」 そう言いながらサガルマータは印を結ぶ。すると水蒸気の塊のような ものが現れた。 「なんだこれ・・・。」触ってみるとふわふわして掴みどころに無い ようなものだ。 「なんか雲みたい・・・。」「こいつに乗るのか。」 「そうだ。一度礼拝所へ行って修験の安全を祈願する。」 「神様がいても・・・ですか?。」 「確かに私はデヴギリ山の守護神だが、ここはユーラントとエイジャンの 境目。私の力が及ばぬ部分もある。そのために祈りを捧げる。」 「ふうん。」「そうなのですか。」  オルケルタは早速固まりに上に脚を乗せてみた。「あ・・・固い。」 「え・・・どれ・・・。本当だ。」 塊はすうっと浮き、二人を乗せてデヴギリ山の中腹を目指した。
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