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番外編:浦部真哉の共感
「05.宮代善爾の懊悩」の途中、一方そのころ……の内容です。
どうしたらいいか悩んでいるのだろうな。それはとても伝わってくるけれど、自分がこんなに『しゅっとした』お兄さんの、何か助けになれるとは思えない。
浦部真哉はせめて、と口を開いた。
「あの、僕ならほっといて大丈夫です、よ?」
「大丈夫な訳ないよ! いや、ごめんね。
俺とじゃ気づまりだろうけど、宮代さんとお姉さん……
君のお母さんは何か話があるみたいだし」
気づまりなのはお兄さん……崎谷さんのほうだろうに。
叔父の善爾は会社で困ったことになっていて、だからしばらく会えないと言われていた。困ったことは解決したから母は今日連れてきてくれたのか。休みに遊ぶくらい仲がいい、崎谷のおかげなのかもしれない。
「じゃあ、会社での善爾くんがどんなか聞きたいです。
もう元気になったのかな……」
「ぜんじくん、て呼ぶんだね」
「はい、『おじさん』って呼ぶと善爾くん、
返事しないんです」
答えると崎谷は少し目をみはり、やわらかく笑った。真哉は安心し、確信する。
崎谷さんは、善爾くんの味方だ。
それなら真哉には、聞きたいこと、聞いてほしいことがたくさんある。善爾の、味方になってくれる人とは仲良くなりたいのだ。
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