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「ここって…。」 意識が浮上して、ゆっくりと目を開けると目の前に豊の整った顔が現れてびくりと身体が飛び跳ねそうになった。 それをなんとか抑えて起こさないようにしながらきょろりと周りを見渡す。 ベランダに繋がっている大きな扉に付けられたカーテンの隙間から微かに差す光で朝になっていることが確認できた。 昨日は遅くまで豊に離してもらえなくて体力のない僕は電池が切れたみたいに意識を飛ばして、起きたら朝になっていた。 目の前にある豊の頬にそっと触れて本当にこれが現実なのか確認する。 むにむにって軽く頬を摘んでいると全然起きない豊がんーって身じろいで僕を抱き枕と勘違いしたのか腕をからませて抱きしめてきた。 お互い裸のままで寝ているせいで肌と肌がくっついてドキドキしていた心臓が更に早鐘を打ち始める。 すやすや眠る豊の顔を眺めながら、こんなに幸せでいいのかなって思いながら目の前にある豊のつむじに1つキスを落とす。 1度は彼から離れてしまったけれど、もうこの温もりを離したくなくて彼の頭を優しく抱きしめてそっと目を閉じた。 これから先僕は男の遠坂縁として彼とずっと過ごしていくことになる。 それが不安でもあるけれど何よりもたのしみだと思った。 「ありのままの僕を好きになってくれてありがとう。」 対人恐怖症で吃音が酷くて根暗な欠点だらけの僕のいい所を見つけて大切に育んでくれた豊は昔から少しも変わらず僕のヒーローであり王子様だ。 眠っている豊にまだ起きませんようにって願いながら唇にキスをする。 アルカナの衣を脱ぎ捨てた僕を何万といる人の中から彼は再び見つけてくれた。 だから、僕もそんな豊にこれからも応えて行きたいし、一緒に歩んでいきたいと思う。 「誘ってる?」 「えっ。」 彼から唇を離した瞬間パチリと豊の二重の瞳が開いてすっと細められた。 「ちょっ!?まってっ!」 「縁が悪いっ。」 寝起きとは思えない程に俊敏な動きで僕の上に馬乗りになった豊がペロリと舌なめずりをして、僕はその色気たっぷりの顔にあてられてぶるっと身体を震わせた。 逃げたくても逃げれない僕に豊がそっとキスをしてきて、僕はその甘美な行為を受けながら今日は大学行けなさそうだなって頭の片隅で思った。 本編 fin
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