No.1

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No.1

もういいや、死のう。 理由なんて、知るか。 訳がないと自殺してはいけないのか? じゃあ、そういう固定観念の世界からの脱出だ。 春の午後の太陽がブラインドから差し込む自室はがらんどうで色もなくて静かで平凡でつまらない。 とりあえず箪笥から出した古びたデニムと伸びに伸びたTシャツを着てるけど、これだって冴えない色で全く普通だ。 俺は机の引き出しをガタガタっと思いっきり開けた。 引き出しの中の乱れた様子に辟易する。部屋とは対照的である意味で刺激がある。 赤点の答案用紙、何だか分からない折れ曲がったプリント、菓子くず、シワシワの封筒、書けないペン、使ったティッシュペーパー、ぐちゃぐちゃに丸まった紙切れとかが溢れんばかり詰まっている。 ごちゃごちゃの中を引っ掻き回して、錆びついたカッターを見つけ握りしめた。 「おうわ!」 逆にカッターに手首を握られ引っ張られ、引き出しの中に連れ込まれる。 真っ暗な中にドンドンと落ちていく、もしかして上に昇っているのかもしれない。風がすごい勢いで耳を削り取る。 寒い。耳たぶも鼻のでっぱりも散り散りに飛んで耳の穴と鼻の穴だけが開いている顔になっちまう。
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