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月曜日になってから紹介状を持って内分泌科に受診したところ、今回の病気が発覚した。その時から主治医を務めているのが旭だ。
高校生の夕映にとって旭はとても大人に見えた。白衣姿に首から下げている聴診器。普段見ることのない非現実的な空間。
かかりつけのクリニックは子供の頃からずっとお世話になっているおじいちゃん先生だったし、救急外来で診察を受けた医者は自分も病を患っていそうな小太りの中年男性だった。
しかし、荻乃旭といったらすらりと伸びた高身長に、バランスの取れた長い手足。なんといっても一目で他人を惹き付ける整った顔立ちが特徴的だった。幅の狭い二重がクールに見せる目元と、整えられた眉にしゅっと先がシャープな顎。短い前髪が惜しげもなくその美しい顔立ちをさらけ出していた。
しっかりと髪をセットしているようで、トップやサイドあたりも毛先がツンツンと外側を向いていた。
その一瞬で夕映はイケメンがいるー! と心の中で大はしゃぎをした。
「ねぇ、お母さん! あの先生カッコよかったね!」
病院の帰り道、自分がバセドウ病だと診断されたことも忘れて母親に満面の笑みを向けた。
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