先生、お付き合いをしましょう!

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 反対に薬が効きすぎると橋本病に近い症状が出る。1週間で体重が10kg増えた時、友人達はその姿を笑った。顔がパンパンだとか、アニメのキャラクターみたいだとか、痩せ身の夕映の転落を喜ぶかのように思春期真っ盛りの女子達は騒いだ。それと同時に安堵も見えた。  朝起きれずに遅刻をすれば担任は「怠け癖がついてるからだ。どうせ夜更かしでもしてたんだろ」なんて怒る。そりゃ遅刻をする方が悪いけれど、8時間寝たって10時間寝たって眠いの。  だって私の体はずっとフル活動なんだよ? 血圧だって毎日上は80台以下で怠くてたまらないの。  そんな文句さえも飲み込んで、必死に謝った。  夕映はほとほと疲れた。健康な時にはわからなかった友人達の言葉が実は棘だらけだったと知ったし、心配しているふうを装っていてもどこかで堕落していくことを求めているとも知った。  これを友人と呼ぶのであれば、もう友達なんていなくてもいい。そう思った。  次第に学校に行くのはつまらなくなった。それでもあと1年はないからと自分に言い聞かせて登校する。 「学校は楽しいですか?」  何気なくそう聞いた旭の言葉に泣きそうになった。冷たい診察室はとても無機質で大勢やってくる患者の中に私も埋もれている。そんなふうに感じる夕映は、その言葉すらもその他大勢に向けられた定型文のように思えた。 「まあ……」 「なにかありましたか?」 「なにもありません。あと数ヶ月で学校も終わりだし……」 「お友達とは仲良くやれていますか?」 「……先生、私も皆と同じように健康になりたいです。体育は嫌いだけど、皆と一緒に走りたいし、食べ物だって成分表を見ないで食べたいです」  ポツリと言った夕映に旭は柔らかく笑った。看護師達に向けるのと同じその笑みは、夕映をそちらの仲間に迎え入れてくれたような気がした。
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