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「土岐?」
響が友人の完全にバグっている様子に眉を顰めた。
「おま、どしたん?」
「どーもしねーよ。土岐、人見知り激しいから初対面のヤツには大抵無言」
恵那がこめかみを人差し指でぽりぽり掻きながら言う。
「ま、そりゃそうやろうけど……ま、ええわ。ほな、涼ちゃん、俺ともオトモダチになろーや?」
「…………」
響に言われ、急に大人しく再び恵那の陰に隠れようとするから。
「いや、さっきまで威勢よく突っかかってたじゃん、涼。どした?」
苦笑しながら恵那は涼を前に押し出す。
「りょーおー。響は大丈夫だって。ほら、ライン交換しとけ?」
さっきまで躑躅を撮っていたスマホを握りしめたままでいる涼だから。
「まだライン友達、俺しかいねーって寂しがってたじゃん」
「だって……僕、えなと違って何も面白いこと言えないし」
「別に面白いこと言う為に友達作るわけじゃねーし、俺だって別に面白いことなんか、なんもゆってねーし」
小さい体を更に小さくするから、響はくす、と笑うと。
「涼ちゃん、こっち見て」
声を掛けて自分のスマホをかざすと、土岐と並んで四ショットで自撮りした。
「ほい。今の写真送るけん、ライン教えて」
響の強引さに涼はあっけにとられ。
茫然としながらスマホをふるふるさせられる。
「はい、これで涼ちゃんと俺はオトモダチね。あとで土岐のんも送るし、ブロックだけはせんといてや」
ウインクなんぞしながら、響が言う。
「おまえ……それ、ナンパの手口?」
「んなことするかいな。女の子にこんなんしたらセクハラで訴えられるし」
「こっわ。まじこっわー。響、軽すぎ」
「だから、しーひん、ゆーてるやろ!」
「いや、やってるね。手慣れてるし。あーやだやだ。これだから関西人は」
「おいおい、そりゃ偏見だっつの」
「響、俺らに黙って彼女いんだろ、どーせ」
「いねえっつの。なん、恵那。おまえ俺に喧嘩売ってる?」
「なんぼで買おてくれまっかー?」
さすがに恵那のそのセリフには響のグーパンチが腹に入る。
「ってーな」
「涼ちゃん、こんなアホはほっといて俺らと仲良おしよな?」
「だから、涼は俺のだっつの」
「僕はえなのじゃないし」
一周したことで三人で爆笑すると、土岐もようやくフっと笑った。
その笑顔に、涼もほっとする。
「今度四人でどっか遊び、行こおや。後でグループ作るし」
「えー、響、いらねーし」
「おい!」
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