左右、あるいは正面

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「とにかく、話を総合すると、だ」  ムネオが仕切り直した。 「左がご飯でオッケー?」 「いいわけないだろ!?」  こいつは本当に何もわかっていない。  僕は言い返す。 「魚だって大抵左向きに置くだろ!? アレかお前は、アレなのか!?」 「いやだから魚の頭に相当するのがご飯だろ!? お前、本当アレだな。アレだ、アレだよお前。マジでアレだわ」  こいつはもうダメだ。早く何とかしてやらなければ、こいつの将来も不安になる。  しかし不安になると同時にナスダがまた口を開いてきたので、僕はもっと不安になる。 「オムライスは?」 「……は?」 「オムライスは右も左も無いし、正面もあり得ない気がする」  ……何を言っているんだ、こいつは。  このアレな奴をどう(さと)してやるべきか、少し考えていたら、ナスダは更に続けた。 「ダブルサイズのオムライスも復活メニューに入ってるって。そこの貼り紙に書いてあるよ」 「……ほう」  僕とムネオは同時に(うな)った。  10分後。  僕とムネオがオムライスのダブルサイズを注文する横で、ナスダは店長に告げた。 「ミックスフライ定食を通常サイズでお願いします!」  やっぱり僕は、理解できない。 〈了〉
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