相容れない、あなたと私

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「どうしたものか..」 現在、無職となった 月野木夢生子(つきのきむうこ)は 1DKの自室のベッドの上で 白い天井を眺めながら呟いた。 部屋の中は物で溢れかえっているが 右手に握りしめている預金通帳の中身は とても寂しいものだ。 「何度見ても19万と5百円...」 すでに貯金は20万を切っている。 しかも、昨年の暮れに唯一の 血縁者のばあちゃんが亡くなってから 田舎の平屋の税金の支払時期も迫って来ているのだ。 私の両親はかなりぶっ飛んでいて ダブル不倫の末、当時3歳なる私を じいちゃんとばあちゃんのところに残して 行方知れずとなった。 だけど、優しいじいちゃんとばあちゃんの 元で私はスクスクと幸せに暮らすことが出来たから両親に対しての不満はない。 というか、興味がない。 しかし、じいちゃんも亡くなり、 ばあちゃんも亡くなった今、 私が長年生まれ育った田舎の平屋を どうしようかと悩んだ末、 結局手放すことが出来ず、 借家に出したのだ。 しかし、田舎の古い民家に いまだに借り手は見つからない。 只々、固定資産税という若者にとっては 大金を毎年のように国へと搾り取られていくのだ。
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