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そして、清子おばちゃんから朔ちゃんの住所を手に入れた私は早速そのメモを頼りに朔ちゃんの住む家へと訪れた。
それにしても、ベストセラー絵本作家の印税の力はつよい。
私は朔ちゃんの建てた豪邸を前に
その大きさに息をのんだ。
こんな広い家に一人で住んでいるのだろうか?
でも、朔ちゃんも30歳だし結婚前提の彼女の一人二人いてもおかしくない。
お金も持っているし、顔だって申し分ない。
いや、だけどあの性格についていける女がいるとも思えない。
もし彼女がいれば諦めて
田舎に帰って優しそうがアピールポイントのおじさんとお見合いするしかない。
私は一か八かで朔ちゃんの玄関のインターフォンを押した。
すると、少し経ってからインターフォンの話口から朔ちゃんの声がした。
『はい。用はなんだ?』
話し口から朔ちゃんが単刀直入に問いかけてくる。
きっとモニターに私の顔が映し出されて
何か面倒事ではないかと朔ちゃんの危機管理能力が発動したのだろう。
ここで事情を話せばきっとこの扉が開くことはない..
「近くまで来たから、朔ちゃんどうしてるかなあと思って。
ケーキも買ってきたし」
私はインターフォンのカメラに向かってケーキの入った箱を掲げて見せた。
このケーキ、2千円もしたのだ。
何としてでもこの家に上がり込んでやる。
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