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「いやだな~、朔ちゃんそんな下心なんてあるわけないじゃん。」
「夢生子は昔から嘘をつくとき鼻の穴が広がる癖があるからな。」
にやりと笑いながら言う朔ちゃんに
私は「えっ!?」と慌てて鼻を手で覆った。
「怪しい...ケーキは有難くいただいとくから、その辺に置いて帰れ。」
そう言ってケーキだけ受け取って追い返そうとする朔ちゃん。
そうはいくかっ!
私は締まる扉に咄嗟に片足を突っ込んでそれを阻止した。
「おいっ?!」とびっくりした表情を向ける朔ちゃん。
「実は勤めていた会社クビになっちゃって、
お金もないし大ピンチなの!!
一生のお願いだから仕事見つけてお金が溜まるまでここに住まわせて!」
私はまくし立てて説明すると
「お願いっ」と両手を合わせて頼み込んだ。
「そんなことだろうと思ったよ。
それなら他を当たれ。」
「当たるとこがないから朔ちゃんに頼んでんじゃん!開けてよ!!」
「嫌だね」
私がむうっと頬を膨らませて
朔ちゃんを睨みつけていると
後ろの方でコソコソと
話し声が聞こえてきた。
後ろを振り返るとご近所さんらしき女性二人がこちらを見ながら何やらコソコソ話しているのが目に飛び込んできた。
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