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朔ちゃんには小さいとき、よく田舎の小さい図書館で絵本を読んでもらっていた。
朔ちゃんは普段は口うるさいけど
絵本を読み聞かせてくれるときの声は
とても優しい。
いつも、朔ちゃんの声を聴きながら
最後には私は朔ちゃんの隣で眠りについていた。
そして、夢の中で私は絵本の主人公になるのだ。
それが楽しくて小学校から帰ってきた朔ちゃんを捕まえては毎日のように図書館に通っていたのを今でも覚えている。
私はスマートフォンの履歴から清子おばちゃんの実家の番号を見つけると、早速リダイアルを押した。
rrrrrr...
何度目かの発信音の後、
『はい、甘利です』
と清子おばちゃんのよそ行きの声が聞こえた。
「あっ、清子おばちゃん?私、夢生子。」
「あれっ、夢生子ちゃん?久しぶりどうしたん?」
清子おばちゃんは電話の主が私だと分かると
よそ行きの声から普段のだみ声へと変えた。
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