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プロローグ
プロローグ
タロットカードの存在を知ったきっかけは、小学校のときに観たバラエティ番組だった。
その番組「突然うらなっちゃいました」では毎回、口元を布で隠したアラビア風の衣装を着た女性が十数枚のカードを広げ、占いの結果を話していく。
「あなたの後ろに若い女性がいるんですよ。この人、彼女だった人でしょ」
彼女の向かいに座っている男性は彼女から聞かされた結果を聞いて、感嘆の声を上げながら女性の言葉に縮こまったり驚いたりしているようだった。
私はこのテレビ番組をいつも見て、占いが当たっていると何度相談者が言ってもどうも信じられなかった。インチキのようにも見えたし、この女性が本当に当てたのかもわからず、カードの絵柄も何だか胡散臭く見えた。占いなんてただのくだらないやらせだと、その時は思っていたのだ。
そんなタロットに振り回されることになるとは、この時想像もしていなかった。
私の名前は大西花梨(おおにしかりん)、二十二歳。この四月から小学校教師として働くことになったばかり。
これから紹介するお話は私が見た奇妙な出来事のうちの一つである。
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