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一気に黄緑という番人から距離を取ると、黄緑は吹き出して笑った。よく見ると整った顔をしているものの、目の下のクマが病的なイメージを彷彿とさせる。捕まったらやばそうだ。
「君は僕の島の囚人じゃない。説明した通り、基本自分の管轄以外の囚人に手を上げることは無しになっているんだ。君は百鬼の担当」
「…へ…じゃぁ、敵じゃ、ない…?」
「僕はあの冷徹無慈悲鬼畜阿保無関心無愛想の百鬼に盾突いた大型新人囚人がどんな人物か確認しに来ただけなんだ。もともと25歳の若い女の重罪人っていうだけで話題にもなっていたしね」
「(さっきからさらっと悪口も混ざってる気が…。)だから、私は重罪人じゃなくってっ…!」
「え?昨日の時点でまた罪を上塗りしてるみたいじゃない。案内人の看守に飛び蹴り、他の看守を血の池に落とし踏み台にする、それから担当番人の百鬼に数々の暴言を吐く…とか。刑期延ばすの好きなのかい?」
「えぇえええちょ、そんなんで刑期延びるのぉお!?いろいろ誤解ですって!そもそも罪のない人間を地獄送りにしたのはそちらのミスでしょ!?」
「さぁ?少なくとも僕の番人帳にはそう追記されていたから」
番人帳!?閻魔帳ならぬ番人帳というものがこの地獄には存在するのか…!とにかく、あの番人帳には罪が重なったら追記で記される仕組みで、そうなれば刑期が伸びるというわけだ。下手なことをしたら無駄に苦しむことになる。囚人たちが死んだ眼でただただ虐げられるのは、これが原因になっている部分もあるのかもしれない。
「…まぁ、心を蝕んでしまおうと思えばいつでもやれたはずなのに、それをしなかった百鬼が不可解だったけれど…少しは納得できたかな」
「え?」
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