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歯を食いしばれ番人様
最後尾で集合場所に到着した者に罰を…つまり、遅刻に関係なくドベになった者には罰が与えられるということか。きっとおじいちゃんは知っていた。それを知っていてどうして、何も知らない私に声を掛けてくれたんだ。私を放っておけば自分が罰の対象になることなんてなかったはず。
「お、おじいちゃん…どうして、」
「…」
「今すぐに決行だ。おい、2975番をマグマ地獄へ連れて行け」
「「はっ百鬼様」」
名前からして生半可なものじゃないことが容易に想像できる。軍服の看守たちが未だ息苦しそうなおじいちゃんを無理矢理掴んで、連れて行こうとする。だめだ。こんなのだめだ。
「やめろ!何のためにこんなことするの!?」
「…何のために?」
「時間にも間に合った、一番最後に来ただけで…!」
「ここは地獄。罰をどのように行おうとおかしいことではない。理由をつけるとするならば…ただの余興だ」
「なっ…!」
囚人といえど、ただの余興であんな絶望的な顔をしなくてはいけないほどの苦しみを与えられなくてはいけないのか。無慈悲な百鬼をギリ、と睨みつけて、私は捉えられているおじいちゃんの元へ走り出す。
「おじいちゃんを離せ…!」
「な、何だお前…!昨日といい今日といい百鬼様に抵抗しやがって…!」
「おじいちゃんは私と一緒にこの場についたはずよ!」
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