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「ふふ、さっき宿舎で言ったでしょ?その光を簡単に消してしまうのは惜しいって」
「光…」
「眩しいほどのその瞳の光だよ」
自分では分からないが、黄緑さんは私の顔をじっと見つめてそう言った。きれいな顔をずい、と近付けられて、恥ずかしくてつい目を泳がせてしまうと、黄緑さんはくす、と笑った。
「さ、その傷の手当てをしなくちゃね。僕の島の看守をここに呼ぶよ。あ、安心して。勿論手出しはしないよ。僕はちょっと、まだ百鬼に話があるから」
またね、可愛いさくらちゃん。
黄緑さんはそう言って私を岩にもたれかけさせると、目にも見えない速さで百鬼を追いかけて行った。
「お、黄緑…さん」
地獄で抱くはずのない感情が、私の胸で蠢いた。
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