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血の契約を交わしました
手までならぬ、足首まで拘束されて放り投げられたのは、おそらく血かと思われる池の前だ。先程歩いていた囚人たちは、何故か5つのグループに分けられてそれぞれの場所に連れて行かれた。私が送られた島は、底の見えない赤色の池に、そびえ立つマグマの山。所々に脆そうな小屋が見られ、何人もの囚人たちが唸り声をあげながら働いている。まるで何百年も遡った戦時中の世界のようだ。既にこの島で虐げられている囚人たちなのだろう。体中には痣や血痕があり、目は死んでいる。
「お前らの成れの果ての姿が、あれだ」
地面に放り投げられている私達の前に用意された地獄と不釣り合いの椅子に座って話し始めたのは、百鬼だ。周りではその手下と思われるグレーの軍服を着た者たちが百鬼に敬礼をしている。先程百鬼にやられた傷が、まだじんじんと痛む。百鬼の顔をよく見ると、自分と変わらないくらいの年の男性だということに気が付いた。人間界で会っていれば、イケメン、と思わざるを得なかっただろう。しかし、先程の事があっては、百鬼はその名の通り鬼にしか見えない。百鬼は続けた。
「お前らの担当番人はこの俺だ。覚えておけ。俺は容赦も情けもしない。この死ねない地獄で計り知れない苦しみを味あわせてやる。そして人間界での行いを悔いろ」
百鬼の言葉に、周りにいる50人ほどの囚人たちはがたがたとおもむろに震え出した。血の池やマグマ火山、死んだ目の囚人たちを前にして重く受け止めるなというほうが難しい。自分たちにはこれから想像を絶するほどの痛み苦しみがきっと訪れるのだ。その恐怖からか、後ろにいた囚人の老人が嘔吐をし出す。
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