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…人間界での行いを、悔いろ…?
私は汗まみれの拳をぐっと握って、百鬼を見る。相変わらず冷たい目だ。
「…4771番、何だその眼は?」
高圧的な視線気が付いたのだろう、百鬼が再び圧を込めて私を見た。
「情報に誤りがあるわ…!私は社長夫妻を殺ってない。そこで殺されたのは私。それを訂正して地獄行きかどうかもう一度ちゃんと選定しろ!」
勢い余って命令口調が飛び出したことは、後悔していない。納得がいかないものはいかないし、怒りたいのはこっちだ。どうせ地獄に来る運命ならば、ちゃんと両親の仇討を達成してからが良かった。やってもない罪を着せられて地獄で大人しく罰せられるほど、私は諦めもつかないのだ。
「…4771番、何故この新規の囚人たちの中で、お前だけが手だけでなく足までも拘束されているかわかるか?」
百鬼は、ゆっくりと腰を上げて私の前まで歩いてくる。今度は右手で私の頬をおもむろに掴んで、無理矢理上を向かせた。両頬に百鬼の指が食い込んで、痛いったらありゃしない。
「お前は地獄に来てからも既に罪を重ねたからだ。人間界からの情報の詳細などどうでもいい。それだけでお前がここにいる理由は十分だ」
「っ…!お前…!」
「それから、この生意気な口もどうにかしてやらないとな。こいつらのように」
百鬼は部下たちに顎で何かを指示する。それを受け取った軍服の部下たちは颯爽と荷物を運んでいた囚人の一人を捕えて、血の池に放り込んだ。
「ぐぁああああ!た、助け、てくださぁっ…!ぐっ!」
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