沢田くんと小野田くん

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沢田くんと小野田くん

「ちょっと待ったあ!」  その時、商店街を突き破るような音速で誰かが走り込んできた。 「今の話は本当か⁉︎ 沢田がクリスマスにいい思い出がないって⁉︎ なーんだ、早く言えよ! だったら親友の俺がいい思い出を作ってやるよ! 面倒くせえけどな!」  ああ、もうこの暑苦しいセリフはあの人しかいない。  見た目は超怖い金髪ヤンキーに見えるけど中身はただのバカ、小野田くんだ。小野田くんって沢田くんと友達になりたくて仕方がないんだけど、沢田くん本人からは怖がられていてお友達認定してもらえてないんだよね。 「小野田くん! いい思い出って?」  小野田くんは猛獣のような笑みを浮かべた。 「クリスマスといえばパーティーだろ! 沢田のために血湧き肉躍る宴を開こうじゃねえか!」    パーティーを開くのは賛成だけど、血湧き肉躍る宴って表現が怖いな。  すると、沢田くんのお父さんの方から震える声がした。 【ヒイイイイッ!((((;゚Д゚)))))))誰⁉︎ そ、空の友達⁉︎ こんな不良とお付き合いがあったなんて……((((;゚Д゚)))))))お父さん、空のこと、何も知らなかったみたい……! 血湧き肉躍る宴って、まさか不良チームの抗争に空を巻き込むの⁉︎ 血のハロウィンならぬ血のクリスマスですか⁉︎ あああ、空のピンチだ、お父さんはいったいどうしたら。゚(゚´Д`゚)゚。】  沢田くんのお父さんはすっかりビビってしまっている。 「あ、沢田くんのお父さん、こちらは小野田くん! 沢田くんの小学校時代からの同級生です」  私は沢田くんのお父さんが泣き出す前にサラッと小野田くんの正体を明かした。 「あ、あ、そ、そうですか……【なんだ、ただの同級生か……】」  安心しかけた沢田くんのお父さんに、小野田くんが凶暴な笑みを見せた。 「どうも。沢田くんのの小野田大輔です」 【息子の大親友が怖い────っ!!!。゚(゚´Д`゚)゚。】  沢田くんのお父さんは心の中で号泣してしまった。  小野田くんのセルフプロデュース力を甘く見ていたわ。  
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