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沢田くんとクリスマスのトラウマ
「えっ⁉︎」
それはもう、そのつもりだったけど。わざわざお父さんから言われたことに私は驚いた。
「実は……空にはクリスマスにいい思い出を作ってあげられたことがなくて。ふと思い立って海外に行っている間にクリスマスが過ぎていたり、サプライズにサンタの格好をして窓から侵入したら近所の人から泥棒と間違えられて通報されたり、クリスマスプレゼントにとっておきの珍しいお面をプレゼントしたら『怖い』ってギャン泣きされたりと、トラウマばかり作ってしまって……」
そういえば、沢田くんの部屋にはお父さんが海外で手に入れた謎の部族のお面がズラッと壁一面にかかっていたっけ。あれは私もトラウマだった。
「ただ一緒にケーキを食べるだけとかでもいいので、空を喜ばせてあげてもらえないでしょうか……あっ、す、すみません、クリスマスにはもう予定がありますよね? 空のためにスケジュールを空けてもらうなんて、今からはもう難しいですよね? 勝手なことを言ってどうもすみませんでした……【このバカ。死ねクズ。コミュ障。こんなに可愛いお嬢さんがクリぼっちなんてわけないだろ。失礼なことを言ってごめんなさい。゚(゚´Д`゚)゚。】」
お父さんは背中を丸めてペコリと謝った。私は慌てて両手を振る。
「いえいえいえいえ、そんなことないですよ! 私のスケジュールなんていつでも空きまくりです! それに私もクリスマスは沢田くんと一緒に過ごしたいなあって思っていたんで!」
「えっ……⁉︎」
お父さんはプラスチックの定規のようにビヨーンと真っ直ぐになった。
【まさかのクリぼっち……((((;゚Д゚)))))))⁉︎ この季節に、空以外でそんな寂しい高校生がいるなんて⁉︎ さぞや今まで周囲を羨んで孤独に生きてきたに違いない……! 可哀想に(´;Д;`)】
ちょ、待って。
もう一度謝ってください。
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