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温かな日差しが降り注ぐ中庭に私は座っていた。 「アルマ~」 手を振るのは金色の髪の少年で、彼はこちらに走ってきて、私の前に屈んだ。 「綺麗な花があったからアルマにあげる!ほら、とても可愛いよ!」 そう言ってオレンジ色の花を、編み込んだ髪に器用に刺してくれた。 「やっぱりアルマは花が似合うね。きれいだよ!」 出来栄えを眺めた彼はニコニコと私に向かって笑った。 私にとってはあなたこそが美しいのだと言いたいが、照れ臭くて赤くなり俯くことしか出来なかった。 眩しい笑顔に、優しい瞳。あの時から私はずっとこの人を思い続けていたのだ。
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