隠された真実

2/12
111人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
『あなたでしょ。』 「何の事ですか?」 恵子の問いかけに、切原が答えた。 『とぼけないでよ。 夫に悪知恵教えたの、あなたでしょう!』 「悪知恵なんて、人聞きの悪い。 私は仕事をしただけですよ。」 『卑怯よ…。』 「卑怯…ですか。 私はあなたの依頼を叶えただけで、詐欺に手を貸したつもりはありませんよ。」 恵子と切原のやり取りを聞きながら、立花架純が『え、何?何!?』と1人で混乱している。 そんな立花架純には一切目もくれず、2人はお互いを真っ直ぐに見つめたまま話を続ける。 「あなたからの依頼は、“素性を隠して彼と結婚をする事”、そして2回目は“彼に浮気をしたと思わせる事”。 ちゃんと願いは叶えたでしょう?」 切原の言葉に、恵子は無言で鋭い視線を送る。 「今度は、新しい依頼人の願いを叶えただけです。」 そう、切原と恵子は前からお互いを知っていた。 恵子が“嘘つき屋”に依頼をしたからだ。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!