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切原の説明した策は、筋が通っていた。
確かに、これなら納得してもらえるかもしれない。
だが、そんなに上手くいくものだろうかとも思った。
説明が終わった後、切原は料金についての話をした。
『お代は成功報酬でいただきます。
つまり、ちゃんと離婚の話が無くなったらお支払いいただく、ということです。
それなりに金額は高くなりますが、宜しいですか?』
詐欺師だ、なんて思ってしまったことを申し訳なく思った。
「はい、離婚を食い止めることが出来るなら、いくらでも出します!」
『中村さん、“いくらでも”なんて言うと危ないですよ。』
ふふっと笑って切原が言った。
『本当に奥様のこと愛していらっしゃるんですね。』
「はい…俺には勿体ないくらいの人なんです。優しくて、気が利いて、一緒にいれるだけで幸せなんです。
妻を幸せにしたいと結婚したつもりが、俺ばっかりが幸せをもらってて…
あ、すみません、こんな話…!」
『いえ、いいですよ。
2人とも幸せになれるよう、頑張りましょう。』
「あ、ありがとうございます。」
恥ずかしさと、申し訳なさ、そして優しさで心が温まるのを感じながら頭を下げた。
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