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何故、妻は突然許してくれたのか…
微かな疑問は残ったものの、無事に妻が帰ってきてくれた、離婚の危機を免れた喜びでいっぱいだった。
「今日はわざわざ来てもらってすみません。
ありがとうございました。」
『いえ、こちらこそご迷惑をお掛けしてすみませんでした。』
2人に挨拶をして、皆で玄関へと向かった。
玄関へ行く途中、男性が俺だけに見えるように携帯を見せてきた。
携帯は通話中になっており、画面には“切原”の名前が表示されていた。
男性のポケットに入れられた携帯を通して、切原は俺たちのやり取りを聞いていたのだ。
なるほど、それで切原は会話の途中にタイミングよく連絡をくれたのか、と一人で納得をした。
2人を見送った後、少し恥ずかしい気持ちを隠しながら妻の方を見た。
丁度、妻もこちらを見ており、2人の視線が重なった。
あ、と思った瞬間、妻はパッと顔を背けて、『お腹空いた~』と言いながらリビングへと戻って行った。
髪から僅かに出ている耳が赤くなっているのが後ろ姿でもわかった。
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