112人が本棚に入れています
本棚に追加
2年前…
神崎恵子は大学卒業後、定職には就かず、
男性と仲良くなって貢がせて暮らしていた。
恵子にとって男性は、恋愛の対象というより、貢いでくれる存在でしかなかった。
今までに本気で人を好きになったことも、本気でやりたいと思う仕事もなく、今の生活を一生続けられればいいと思っていた。
新しいターゲットを探していた時、
居酒屋で1人の男性を見つけた。
それが中村孝一郎だった。
見た目は冴えないが、優しそうな、30代くらいの男性。
店員とのやり取りを見ていても、人が良さそうなのが伝わってきた。
『ここのお店、よく来るんですか?』
『私、九州から上京して来たばかりで、この辺りよく分からなくて…
美味しいお店があったら教えてください。』
口からでまかせだった。
昔から都内に暮らしているし、九州に行ったのは友達と旅行に行った一度だけだ。
ただ、仲良くなる為の切っ掛けが作れればいい。どうせその内関わらなくなる人だ。
そう思っていた。
計画通り、孝一郎とは段々と距離が縮まっていった。
孝一郎は最初はなかなか目も合わせてくれず、女性に慣れていないのだとよく分かった。
だからこそ、簡単に落とせたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!