隠された真実

3/12
前へ
/44ページ
次へ
2年前… 神崎恵子は大学卒業後、定職には就かず、 男性と仲良くなって貢がせて暮らしていた。 恵子にとって男性は、恋愛の対象というより、貢いでくれる存在でしかなかった。 今までに本気で人を好きになったことも、本気でやりたいと思う仕事もなく、今の生活を一生続けられればいいと思っていた。 新しいターゲットを探していた時、 居酒屋で1人の男性を見つけた。 それが中村孝一郎だった。 見た目は冴えないが、優しそうな、30代くらいの男性。 店員とのやり取りを見ていても、人が良さそうなのが伝わってきた。 『ここのお店、よく来るんですか?』 『私、九州から上京して来たばかりで、この辺りよく分からなくて… 美味しいお店があったら教えてください。』 口からでまかせだった。 昔から都内に暮らしているし、九州に行ったのは友達と旅行に行った一度だけだ。 ただ、仲良くなる為の切っ掛けが作れればいい。どうせその内関わらなくなる人だ。 そう思っていた。 計画通り、孝一郎とは段々と距離が縮まっていった。 孝一郎は最初はなかなか目も合わせてくれず、女性に慣れていないのだとよく分かった。 だからこそ、簡単に落とせたのだ。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

112人が本棚に入れています
本棚に追加