壊れた幸せ

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分かったことは、部長の記憶がある間は俺はいつものようにチビチビと飲んでいたこと、隣の女性たちは部長の話を楽しそうに聞いていた(らしい)こと、そして俺(?)が部長を自宅まで送り届けたこと、だった。 部長の奥さんの話によると、部長を送り届けたのは男性1人だったと。 俺はまだ面識がないので、本当に俺だったかは定かではないが…状況からするとおそらく俺しかいないだろう。 じゃあ、その後に女性と合流してホテルに行ったというのだろうか。 一先ず顔を洗おうと、寝室から出て洗面所へと向かう。 昨夜、妻は寝室には来なかった。一体どこに居たのだろう。ちゃんと寝れただろうか…。 顔を洗い、リビングのドアをそっと開ける。 妻の姿はなかった。 代わりに机に朝食と紙が置かれていた。 『これが私の作る最後の朝食です。』 そう書かれたメモと、隣に離婚届が置かれていた。 もうすぐ、結婚してやっと1年を迎えようという時にこんな事で離婚をしなければいけないのか? いや、原因は俺なんだけど…。 何とかこの離婚を食い止める事は出来ないだろうか。 たった1日の出来事で、これまでの全てが、そしてこれからの未来までもが無くなってしまうなんて。
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