嘘つき屋

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嘘つき屋

『人には誰しも秘密があるものです。 自分だけの秘密、 この人には知られたくないという秘密、 そんな秘密を守るお手伝いを致します。 自分の為に、誰かの為に、 時には嘘だって必要です。 嘘つきは悪い事だけではありません。 あなたの大切なものを守る為、 嘘つき屋へご相談下さい。』 サイトを開くとそう書かれていた。 そして、電話番号が表示されている。 “誰かの為に…” そうだ。妻の為に、妻を傷つけない為に。 そう自分に言い聞かせて電話番号を入力していく。 “嘘をつく”というのは、後ろめたさがある。でも、もしその嘘で一連の事が解決するなら… どんな嘘をつけば、この浮気を誤魔化せるのか、そんなことを考えている余裕はなかった。ただ、何でもいいから可能性にかけたかった。
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