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「なんや、誰も居らへんのかいなぁ。」
応接室のドアを開けるなり、隣の部屋のカノカにまで聴こえる、不躾に大きな声関西弁。緑のラメスーツ、てっぺんに星をあしらったシルバーのシルクハット。ピカピカひかる豆球で縁取ったサングラス。見るからにクリスマスツリーファッションの男。
「焦りすぎてはダメよ。今回のミッションは彼女しかこなせない。」
鍔の大きな赤い帽子、グッチのミニスカサンタスーツに、ディオールの最新底上げブーツ、クロムハーツ仕様、を完璧に着こなす抜群のプロポーションの若い女。
「なかなか素敵なオフィスですね。」
高級な仕立ての赤いスーツの男はスマートで、かなりのルックス、茶色の毛皮のシルクハットに長いツノが2本、ハットとおそろいの毛皮のコート。首元のネックレス、腕にはブレスレット。ともに金、銀、プラチナ、ダイアモンドと何重にもあしらっていて、下品にならない。そこが逆にセンスを感じさせる。
「失礼します!」
秘書が三人の前に、温かいジンジャーミルクティーを配膳し終わった頃。
カチャ…
部屋の奥の扉が開く。
「おまたせしました。クリスマス商会の皆様。」
「なんでわかったんや!」
「さすが、噂の名探偵ね!」
「聞きしに勝る実力ですね!」
(いや、わかるだろ!)
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