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サンタクロースの行方
カノカの登場とともに窓のカーテンが自動で開く。赤坂の夜景とライトアップされた東京タワーが一望できる。
シュー!
空気の乾燥を防ぐ蒸気もセンサーで必要な分だけ放出されている。
心なしかあまい香りが漂う。
「はじめまして。和來 花果(かずき かのか)です。」
「ワシがかめツリーじゃ」
「すぎもんサンタよ。」
「ウルフ刑事です。」
「刑事さんなんですか?」
「ええ、ただ今回は刑事として来た訳ではありません。クリスマス商会の役員としてです。」
三人の挨拶が済んだところで、お腹の出た作業着を着たおっさんが、いきなり事務所のドアを開けて入って来た。
「カノカ〜!断れ〜!そんな怪しい奴ら〜!何処のウマの骨かもわからんような奴らの頼みなんか断れ〜!」
「ひろ叔父さん!なんですか、突然入って来て。」
カノカは少し頬を赤らめて怒鳴る。見られてはならないものを見られた様子だ。
「ひろ先輩!」ウルフ刑事が咄嗟に叫ぶ。
しかし、ひろ叔父は
「誰じゃ?わしゃ知らんぞ。誰かと間違えておるんじゃろ。」
「うーん、言われてみればひろ先輩はもう少し痩せていて、若くてハンサムです。」
「うるたーい!カノカ〜!はやくこいつら追い出せ〜!」
「報酬は100億円よ。」すぎもんサンタは声も可愛い。
ひろ叔父の態度が一変する。最大限に感情を殺した声で…
「カノカ!この方々のご依頼を全力でお受けしなさい!」
ひろ叔父はそれだけ言うとツカツカと去って行った。
「なんじゃ、アイツはアホか!」
と、かめツリー🌲はしっかりツッコミを入れていた。
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