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「失礼いたしました。一応御用件はお伺いします。ただ、報酬が100億円ともなる案件を、私の事務所で簡単にお引き受けできるとは思いません。お断りする場合もあります。それでよければお話しください。」
「ええ、ええ。それでええ。用件は簡単や。」
備え付きの鏡の前で、星付きシルクハットとピカピカサングラスを外し、これまた派手な赤メタルの蝶ネクタイを整え、内ポケットからスワロフスキーでデコレーションされたクシを取り出し、リーゼントにクシを入れる関西弁のかめツリー。素顔はジョン・トラボルタばりのいい男だ。
「サンタクロースが行方不明になりましたの。」
真っ赤なルージュと長いまつげが生み出す妖艶な色気は、まるで、ふ〜じこちゃ〜ん!のすぎもんサンタ。
「はあ!明日クリスマスイブですよ。で、一体私にどうしろと?サンタさんなんて探せませんよ。」
興奮するカノカにクリスマスバージョンウルフ刑事は、スーツから見るからに手の込んだ懐中時計を取り出し、やさしく補足説明をする。
「我々も時間がないのはわかってます。サンタクロースを探してくれとは申しません。今回の依頼は、サンタクロースの代わりにこどもたちにプレゼントを配っていただきたい。」
「いやぁ!むりむりむり〜!そんな時は日通とかDHLとかAmazonに頼んだらいいんじゃないですか?むしろ私は聞きたい。なんでこんな小さな探偵事務所に頼むんですか〜!」
クリスマス商会バージョン🎅のウルフ刑事は静かに答える。
「それは…貴女が優しい人だからです。」
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