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「じゃあ、私も旦那様のところに戻るね。またゆっくりうちに遊びに来てね。うちの娘もまた抱っこして欲しいし」
ひらひらと手を振って彼女は小走りでヒロトのもとに戻って行った。
ヒロトと結婚した彼女も以前からあの女たちには嫌味を言われ嫌がらせされていたひとりなんだろう。
それに、ヒロトたち夫婦は俺と果菜の映像が流出したことを自分たちのせいだと気にしていた。
決して彼らのせいじゃないってことは明白だったのだが、割り切ることはできなかっただろう。
今回、俺の協力をしたことで少しは気持ちが晴れたのならいいのだが。
「せっかくだから、挨拶回りをしておこうか。結婚した後に行かなくて済む」
社長にも勧められたことで黙って頷いた果菜の腰に手を回して西隼人の事務所の社長の元に向かった。
そこを皮切りに次々と俺の知り合いの俳優、女優、スポンサー企業や芸能関係者などと挨拶を交わしていく。
彼女の存在は概ね好意的に受け止められたように思う。
何と言っても果菜には悪意がない。
年齢、権力の有無に関わらず不必要な媚を売ることもなく横柄な態度もない。フラットに感じがいいのだ。
そして時に見せる恥じらった表情に男の庇護欲が疼く。
さっきから俺に向けてじゃない視線をあちこちから感じる。
しかも、男から。
果菜をこんなオオカミの巣窟に置いておくわけにいかない。
そんな視線に気付いた俺は早々に帰宅を決めた。
「果菜、もうそろそろ帰るぞ」
「いいの?まだパーティーが終わってないのに」
「もういい」
「帰る前に主賓や清美さん、ヒロトさんたちにご挨拶を・・・って貴くんってば」
話をしている途中の果菜の腰をグイグイと押して会場を出て行く。
「もうっ、貴くんったら強引なんだから。もう会場を出ちゃったって清美さんたちに連絡しなきゃ」
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