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Episode2 ユウキの後悔
Episode2 ユウキの後悔
その日は朝から雨が降っていてどうにも気分が乗らないイヤな感じで。
おまけに熱っぽいし頭痛も始まってしまいこれからラジオの生放送だったにもかかわらず、俺はヒロトとタカトに後を任せて帰宅することになってしまった。
「ここで降ろしてくれればいい」
目の前に駅がある。
ここからなら電車で一駅。
移動車にはこれからラジオ局に入るヒロトとタカトが乗っている。
俺を送るために俺のマンションに行こうとしたらラジオ局に入るのが遅くなってしまう。
かといって、ラジオ局で二人をおろした後、うちに送ってもらうのも遠回りだし、渋滞を考慮するとどちらを先にしてもかなり時間がかかってしまう。
「すぐに帰りたいから」
マネージャーの木田川さんが一緒に降りて送ると主張したけれど、ラジオ局側に俺の不在を説明する役目があるだろうからとやんわりと断った。
だいたい、ヒロトはお調子者だし、タカトは言葉が足りない。あの二人に任せるのはどうかと思うんだ。
勝手な彼らをまとめてひとつにする、そんな役目はいつも俺だった。
駅に着くといつもよりも多い人ごみに嫌な予感がすると、案の定電気系統のトラブルで電車が止まっている。
夜の帰宅時間と重なりタクシー乗り場はもちろん長蛇の列。
仕方ない、少し離れた地下鉄の駅に向かって雨上がりで湿った匂いのする街を歩き始めた。
頭痛はさらに強くなり目の奥が痛み、軽く吐き気がする。
熱があるのは自覚していたけれど、これはまずいかもしれない。早く休まなくては。
商店街に見慣れたドラッグストアの灯りを見つけて、とにかく頭痛薬を手に入れなくてはとふらふらと歩いて行く。
頭痛薬を飲んで近くのホテルにでも泊まった方がいいと気が付いた。
身体が重い。
目の前が暗くなったーーーー
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