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君を真ん中に挟み左右で27才の私と朋花さんがキミと腕を組んだなら、おねーさんが若い男の子をおもちゃにしてるようにしか見えないってことよ。
「こいつこう見えて空手の有段者なんでボディーガードはクビにしないでやって下さいね」
青山君より10センチ以上身長が高い真島さんが青山君の頭をポンポンとする。
子ども扱いされて嫌がる青山君に
「ごめんなさい、エスコートは遠慮させてもらうけどーーー映画祭が終わって真紀さんと合流するまでの間のボディーガードはお願いします。頼りにしてます」
そこは素直にきっちり頭を下げた。
可愛い顔して空手の有段者なんだ。人は見かけによらないね。
こんなことになってしまって、私たちは先にホテルに帰った方がいいと思うのだけど、警備の都合上事務所側は私たちをLARGOとまとめて管理したいらしい。
「せっかくここまで来たんですから楽しんでいってください。ただ不自然に近付いてくるような人間には気を付けて下さいよ」
真島さんは青山君に小声で何かを伝え私に会釈すると、朋花さんの髪に軽く触れて去っていった。
おお、その仕草。
やっぱり二人には何かある。
朋花さんはほんのり頬を染めて真島さんを見送ってるし。
絶対になんかある。
レッドカーペットで朋花さんが見ていたのはユウキさんじゃなくてその隣でガードをしていた真島さんだったんだ。
ただ、青山君がべったり張り付いているからその辺のことを詳しく朋花さんに聞きたいのだけれど聞けない。
「---果菜さん、目が怖いっす」
「あら、ごめんなさい」
気が付かないうちに青山君を睨んでいたらしい。慌てて作り笑顔を張り付けた。
「笑顔も怖いっす」
あなたね、といいたいところをぐっとこらえる。
ううん、こんなことになったのは自分たちが悪い。青山君は悪くない。
朋花さんもいつものにこやかな朋花さんーーーではなくてさっきからずっとどこかそわそわと落ち着かない様子。
「後で事情聴取!」
朋花さんの腕を引っ張って耳元で囁くと「ええ?」っと驚いた顔をして両手を振って違う違うとゼスチャーをする。
違わないから。
戸惑う朋花さんと腕を組み、青山君を後ろに従えて会場内の指定席に向かった。
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