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【1】
今日は、いつもの皆と遊園地での待ち合わせ。
翔太、大知、桃と、私、陽香の4人。
気づくと、私達はいつも一緒にいた。
大学のクラスで席が近かった事がキッカケでよく話すようになった。
翔太とモモは高校から一緒で、モモは翔太と一緒の大学に行きたいからと追いかけて一緒に上京して来たんだとか。
二人は付き合っていた。
私は不毛にも、翔太に片想いをしている。
自分でも何で翔太なの?って思うけど、
光に吸い寄せられるように、翔太から目が離せなくなっていた。
そして、あまり意味なんて無いかもしれないけど、今日は目一杯オシャレをして。
メイクも髪型も服も靴も、いつも以上に気を遣って来た。
かわいいのはそんなに似合わないと思うけど、今日は小花柄の青いワンピースだった。
私が一番最初に待ち合わせ場所に着いて、間もなくダイチがやって来た。
「早いね・・・」
とダイチが私を見つけると声をかけた。
「あー、・・・何ていうか、いつもより、そのワンピースとか、いいじゃん・・・」
ってボソボソと言い慣れない事を言う。
「そう?ちょっと気合い入れ過ぎちゃったかな?
ありがとう・・・」
と、言いつつも、基本的に女の子は褒められるのが大好きだ。
なんて言ってると、翔太とモモが到着。
翔太が
「おはーっ!!
二人とも早いねっ!!」
といきなりハイテンション。
「おはよう。
ハルカ、ダイチ、早いねー。」
と、モモ。
フワフワのボブヘアーにピンクの花柄のワンピース。花柄ワンピ被りだった。
でもピンクとか・・・私には絶対似合わない・・・。
胸元には、翔太からのプレゼントのネックレス。
似合ってる。
翔太が私に『モモにはどっちがいいかな?』って相談して来たネックレスだった。
女の子の趣味が分からないからって。
私はモモにはピンクが似合うからと、ローズクォーツとピンクトルマリンの花の形のデザインを選んだ。
やっぱり良く似合う。
でもモモには多分、どのデザインかより、翔太からプレゼントされた事に意味があるんだと思った。
翔太はその日、付き合ってくれたお礼にと、私にキーホルダーをくれた。
お店で2種類並んでいたキーホルダーに、私は翔太に
『どっちがいい?』
と聞いた。
ラインストーンの、青かピンクか。
私だったら、青が好きかな・・・なんて思っていたけど。
『うーん、ハルカだったら、青かな?』
と言うので、私は
『翔太は、ピンクが似合う女の子の方がいいよね?』
と聞いてみた。
翔太は、
『別に・・・。ハルカが、どれが好きかって事が大事でしょ?』
と答えた。
それがなぜか嬉しくて。
私は密かにいつもそのキーホルダーをバッグに忍ばせていた。
別に秘密にするほどの事では無いけれど・・・。
翔太には特別じゃない優しさが、私には特別だった。
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