【2】

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「おっしゃー! 今日はダブルデートだっ」  と翔太。 「デートって・・・」  と、ダイチ。 「まあまあ、楽しもう!」  ってモモ。  ああ、やっぱりって私は思った。  薄々は分かってて来たのに。   翔太とモモは、私がダイチと付き合えばいいって思ってるみたいだ。  それは、二人の優しさだ。  でも、そんな優しさがいちいち棘になる。  私もズルい。  知らないフリをして笑ってでも、  翔太に会いたかった。 「じゃあ、ジェットコースター行きましょかっ!」  って翔太。    コースターに座ると、モモが大事そうにネックレスを押さえていた。  そんなモモを愛しそうに翔太が見てた。  そんな二人を目で追いながら、私はダイチと二人で席に座る。  実はジェットコースターは苦手だ。  コースターがスタートした。  車体が上昇する。  私は思わずウエストにある安全ベルトに思いっきりしがみ付いた。  ダイチが、 「え?大丈夫?」  って心配そうに声をかける。  車体が急降下した。  キャーッて、モモが楽しそうに叫ぶ。  私の意識は遠くなりそうだった。  私は、コースターから降りると、気分が悪くなってフラついていた。 「ハルカ、大丈夫? 苦手だったら、無理しなくていいのに・・・ 掴まっていいよ」  って、ダイチが私に手を貸してくれた。  私はダイチに掴まりながら、ベンチに座った。  翔太とモモも心配そうにしてたので、 「ごめん、少し休んだら大丈夫だから」  って、私は言った。  景色がグルグル回る。  ダイチが私に水を買って来てくれた。  そんなとこが、さりげなくて優しい。
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