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 急に、雨が小降りになって来て。    パッと晴れ間が見えた。      翔太が、 「わっ、すげーっ!! 虹だ・・・」  って言うので、見上げたら、夕方のオレンジ掛かった空に七色のアーチが見えた。 「綺麗・・・」  それは、今まで見た事も無いような幻想的な色彩で、しばらく4人で見とれていると、  珍しくダイチが、 「写真を撮ろうか・・・」  って言うので、  また、皆でギュッと集まって自撮り写真を撮った。   オレンジと七色の空が、  奇跡みたいに、綺麗だった。  私は、 「ダイチ、ありがとう・・・」  って言った。 「・・・うん・・・?」  ってダイチは少し不思議そうに答えた。  そして、私は、また何も無かったように、  駅では皆に笑ってバイバイした。  バッグに忍ばせてるキーホルダーみたいに、  気持ちを隠し持っていて・・・。  そして、明日も、何も無かったように、   笑って『おはよう』って言うんだ・・・。  そんな、日々が続くといい。  せめて、  もう少しだけ・・・。
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