ホワイトムスクの午后

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上杉さんはまた大き目のパンケーキを口に入れた。 まったく美味しそうに食べる人だと私は思った。 「今はネットでAVを見る事が出来るので、私たちが恥ずかしい思いをしてレンタル店に借りに行く必要も無いですけど、先輩たちはレンタルビデオ借りて来て見ていたって言ってました。でも、当時はAV借りても恥ずかしくも何ともなかったって言ってましたね。多分、こんな仕事していると色々と壊れて来るんですよ…」 上杉さんは私を見て微笑む。 「私も先生と昼間っからお酒も飲まずにこんな会話出来てるんですから、やっぱり何処か壊れてるんでしょうね…」 作家も同じなのかもしれない。 昨今の文学賞は性描写に対してかなり重要視されている様な気がする。 同じ作家として性描写を読むと、その人の内面が見える様な気もして、粘着性のあるモノ、サラッと書かれているモノ、それがその作家の性なのかと考える事は多い。 そんな風に性描写を読むのは作家として壊れている証拠なのかもしれない。
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