ホワイトムスクの午后

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私はナイフとフォークを置き、タバコを手に取る。 甘いモノを口にするとタバコが欲しくなる。 それを見て上杉さんは「どうぞ」という顔をした。 私はタバコに火をつけると、上杉さんに煙が掛からない様に煙を吐く。 「先生の作品の中のセリフに、人は生かすより殺す方がずっと簡単で、生かし続けるよりも殺してしまった方がコストパフォーマンスも良いってのあったじゃないですか」 確かにそんなセリフを書いた覚えがあった。 「アレを読んだ時に考えたんですよね。先生を作家として生かし続けるより、作家生命を終わらせてしまう方が、私たちには簡単なのかもしれないし、コストパフォーマンスの面から言ってもその方が良いのかもって…」 上杉さんは頬杖を突いたままニヤリと笑った。 私はその表情に身震いした。 「そんな事はしませんけどね…。先生の作品好きだし、暗いし、読後のモヤモヤが凄まじいですけど」 上杉さんはコーヒーをゴクリと飲み、また頬杖を突く。
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