ホワイトムスクの午后

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ホワイトムスクの香りが漂う部屋。 割と冬の午後に合う香りだという事がわかった。 私はソファで溜まっている本を手に取り、何となく読み始める。 パンケーキを食べ終えた食器を洗い、上杉さんは私の横に座った。 「あ、それ、イマイチでしたよ」 読んでいる横でそんな事を言い始める。 まあ推理モノでも何でもないのだけど。 私は手を止めて、本に栞を挟んだ。 「イマイチって言われてしまうと、読む気が失せてしまいますね」 最初の方を読んだ時点でイマイチな事はわかっていたのだが…。 「あ、私、これまだ読んでないですね…」 と上杉さんもテーブルに積まれた本、いわゆる献本と言われる本を手に取る。
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