ホワイトムスクの午后

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私はこの献本こそデジタルになれば良いのにと思う。 年間百冊程の本が増えて行く事もあり、書棚からは直ぐに溢れてしまう。 「先に読んで良いよ」 私はソファから立ち上がると背伸びをした。 「ありがとうございます」 彼女は勢いよく本をパンと音を立てて閉じると、テーブルの上に置いた。 私はキッチンに行き冷蔵庫を開けるとアイスコーヒーをグラスに注ぐ。 いつもボトルのコーヒーを箱で買って置いている。 簡単で良い。 アイスコーヒーは夏の飲み物だと言われる事が多いが、日本という国は缶コーヒー大国で、冷たいコーヒーがいつでも飲める。 私はこのアイスコーヒーを水代わりに飲む。 コーヒーは体に良いと言う学者と体に悪いと言う学者が存在する。 そしてその良し悪しはコーヒーに限らず時代によって変化する。 少し前まで体に悪いと言われていたモノが、ある日突然体に良いと言われだしたりする。 食べ物の焦げは癌になるとか胃の薬になるとか…。 人はそんな情報に振り回されて生きている。 情報とは最大のエンタメなのかもしれない。
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