ホワイトムスクの午后

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「私も頂きます」 ふと気が付くと上杉さんが私の後ろに立っていた。 私はグラスを取ると氷を入れてアイスコーヒーを注いだ。 上杉さんにそれを渡し、また二人でダイニングテーブルに座った。 「先生はコーヒー好きですね」 上杉さんはグラスに口を付けた。 「そうですね。好きと言うよりは眠気覚まし的な要素が大きいかと」 「眠気覚ましですか」 私はグラスを置いて、テーブルに肘を突いた。 「コーヒーもタバコもそうなんですが、私はいわゆるショートスリーパーじゃないですか」 私の睡眠時間が極端に短い事は上杉さんも知っている。 「ショートスリーパーって、いつも眠いんです。短い時間で睡眠をとり、それで大丈夫なのかって言うとそんな事無くて、眠いのは眠いんですよ」 上杉さんはうんうんと頷く。
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