ホワイトムスクの午后

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「けど、先生と色々お話をさせていただき、決心がつきました。私はもう少しだけ、先生と仕事がしたい。そう思いました」 上杉さんは冷たい手で私の手を取る。 「もう少しだけ、一緒にお仕事させて下さいね」 上杉さんはそう言うと顔を赤らめ、そそくさと車に乗り込んだ。 そしてエンジンをかけるとガレージから出て行った。 私は上杉さんの赤いアウディを見送りながら、微笑んだ。 そしてポケットからスマホを出して、上杉さんの会社の編集長に電話を入れた。 編集長は数回のコールで電話に出た。 「ああ、編集長ですか。私です」 私は家に入り、玄関の戸を閉める。 向こうは滅多にない私からの電話で困惑している様子だった。 「上杉さんから異動の話を聞きました。ええ、ええ…。上杉さんを担当から外されるのであれば、私もしばらくお休みを戴こうかと思います。ん…期間…、それは無期限という事で…」
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